2章 文献資料のレビュー

  

本研究の第2章では、12世紀頃始まる古琉球から第二次世界大戦までの期間に及ぶ文献資料に見られる琉球列島の染織及び芭蕉布に関する記録を論じる。

本章の第1部では、琉球衣服や染織一般と関連する最古の記録を検討する。琉球では歴史的な出来事を記録し始めたのは17世紀の半ば頃からである。それゆえに、検討できるそれ以前の文献資料は、外国(特に中国や朝鮮)のものである。第1部の目的は、琉球王国で使用されていた主な繊維材料を定義し、琉球染織史の中で芭蕉布の背景を提供する事である。これは、第2部で検討する、よく芭蕉布と関連される織物関係の議論への導入ともなる。

 本章の第2部では、特に琉球糸芭蕉から得た繊維での織りとその製品である芭蕉布と関連する文献資料を検討する。琉球と外国の文献資料の両方を通して芭蕉布織りがどのように琉球列島で始まったのかについて証拠を提供する試みがなされている。これは、現在でも議論の的になっている琉球・沖縄の芭蕉布織りの歴史的な由来を含んでいる。また、芭蕉布生産がどのように琉球列島で発展したのか把握するために、糸芭蕉からの繊維抽出と糸作りの技法から芭蕉布織りとその仕上げまでの、芭蕉布の製作工程に使用される技術・作業に関する記録を収集し、検討した。なお、琉球王国時代の社会階級においてどのように芭蕉布を使用していたのかについても検討する。明治時代の文献資料からは芭蕉布生産が19世紀末の産業革命後に次第に減少した事が明らかになる。